キスまでの距離
「……もう、一人で抱え込まなくていいから。俺が側にいるから」
シンさんの熱い吐息が耳にかかり、あたしの胸がドクンと大きく一打ちした。
その温もりに包まれていると、なんだか自分の目頭が熱を持っていることに気付いた。
―――泣いている。
今まで男の人の前では強がってばかりで、泣いたりできなかったのに、不思議とシンさんの前では泣ける自分に驚いていた。
シンさんの温もりは心地よくて、これが永遠にあたしの物なんて錯覚を起こしそうになる。
そんなことあるわけないのに。