キスまでの距離
すっかり暗くなった頃、お店はピークを迎える。
あたしの脳内パニックも自然とピークを迎え……。
「おまえなぁ、何度言わせるんだよ!!」
あたしはシンさんに凄い形相で怒られていた。
「卓番間違えて料理運び間違えるなんてな、一番あってはならないことなんだよ!!」
そう。
あたしは1番テーブルのお料理を間違えて5番テーブルに運んでしまい、1番のお客様はお料理が遅いってカンカンに怒っている。
で、あたしは裏でシンさんにカンカンに怒られているわけ……。
「シンさん、こいつも反省してると思うので、ここら辺で許してくれませんか?」
見兼ねたハルが助けを出してくれた。