キスまでの距離


シンさんが仕事終わるまで待って送ってもらって、話して、今は23時半頃だった。


人が誰かの家に尋ねる時間ではなかった。




この家の中にシンさんがいる。



でも、部屋に一人になって急に不安になったあたしはソファーから立ち上がり、シンさんの後を追った。


今は少しでも一人になりたくないんだ。



「シンさ……」


シンさんが消えて行ったドアを開け、顔を覗かせた。



見えた広い背中に安堵したのもつかの間で、その肩越しに見えた姿に、あたしは息を飲んだ。

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