キスまでの距離


一体どんな家庭環境で育てば、こんな狂った愛情が育つのだろうか?


親から愛情を受けなければ、こんな風に狂ったように愛情を求めるようになるんだろうか?




あたしがすっかり言葉を無くしている間も、シンさんとその男は話を続けていた。



「なら、キスしてみるか?盛大に吐かれて終わりだろうがな」



シンさんのこの声が聞こえたかと思うと、突然視界が暗くなって、唇が温かさに包まれた。



驚きで見開いている瞳に映ったのはシンさんの長い睫毛だった。



「……フっ……」

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