キスまでの距離
あたしの咳込みがようやく治まった頃には、既にアイツはシンさんの右足で勢いよく蹴り飛ばされて、廊下の壁に突っ込んでいた。
「ここにいろ」
シンさんに優しく囁かれ、思わずコクンと小さく頷くと、それを確認したシンさんはあたしに背を向けた。
そして、廊下に出たシンさんは寝転ぶようにして倒れてるアイツの一物を勢いよく踏み付けた。
その衝撃でアイツが「ぐぇっ」と蛙を踏み潰したような声を上げた。
「わかったか?唯がキスされて吐かないのはおまえじゃない。俺だ」
シンさんが低くて冷たい声でとても恥ずかしいことを言った。