キスまでの距離
第6話 夢の終わり
1.ファーストキス
もうすぐ夏休みが終わるというある日の夜、仕事を終えたあたしは事務所で赤い携帯片手にカチカチと友達への返信メールを打っていた。
「あら、それが新しい携帯?」
突然店長に声をかけられ、あたしは顔を上げて微笑んだ。
「あら〜?それってもしかしてシンくんの携帯と色違い?」
ニヤッとした笑みで店長に言われ、あたしは顔が赤くなった。
「……か、会社も変えたから操作がわからないし、だから、シンさんと同じ携帯にしただけです!教えてやるからって買う時シンさんに言われて!」
あたしは慌てて言ったが、それが余計に墓穴を掘ったとすぐに気付いた。