キスまでの距離
2.セカンドキス
美佐とあれこれ話しながら歩き、やがて胡蝶の前にたどり着いた。
よほど運が悪くない限り、社員のシンさんはいるはず。
社員さんはバイトと違って休みが少ないのだから。
あたしは複雑な面持ちで、少し前まで見慣れていたはずの建物を見上げた。
「唯ちゃん、早くしないと夜のオープンの時間になっちゃうよ?」
痺れを切らしたように美佐に言われ、あたしは携帯で時刻を確認する。
―――16時半。
早くしないと、話をする時間がなくなる。