キスまでの距離
身体は元気だが、心は元気と言えるかどうか。
そんな曖昧な状態だったから。
そんなあたしと違い、店長は全開の笑顔であたしにさらに問い掛ける。
「今日はどうしたの?」
「あ、あの、シンさんに話が……」
店長の胸の中で少し苦しそうに言葉を出すと同時に、低くて冷たい声が響き渡った。
「……店長、いい加減離してあげてください」
店長の胸で姿は見えないが、耳が覚えているこの声は、シンさんの声だった。