キスまでの距離


遥か昔に捨てたはずの感情。


初彼の元に置いてきたはずの感情。




あたしは、あたしは――……。



そっと顔を上げ、シンさんの驚いたような瞳を見つめながら言った。







「……シンさんが好き」






もっと、もっと、何度も何度もその想いを口にするつもりだった。



しかし、あたしの次なる言葉はシンさんの唇に飲み込まれてしまった。

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