キスまでの距離
な、なんでこんなに近付いてくるの!?
パニックで頭が回らない。
「……震えている」
シンさんがポツリと呟いた。
「……もしかして、男が怖い?」
あたしは今にも泣き出しそうな顔のまま、小さく頷いた。
だから、お願いだから、それ以上踏み込んで来ないで。
そんな願いを込めて。
しかし、願いは神様に届かない。
シンさんはさらに近付いてきて、そっと右手をあたしの左頬に添えた。
あたしはビクッと顔を震わす。