キスまでの距離
しかし
足の早いシンさんにすぐ追い付かれ、あたしは後ろから肩を掴まれた。
「待てよ」
耳元で少し息の荒いシンさんの声が聞こえ、あたしの心臓はドクンと脈打った。
……な、なんであたし動揺してるわけ?
男の声が耳元で聞こえたから?
でも、なんだかいつもの恐怖とはなんだか違う。
あたしは、初めて味わう感情に戸惑ってしまう。
そんなあたしを余所に、シンさんは「こっち」と言いながら、あたしを何処かへ連れて行った。