キスまでの距離


しかし、理解はしていなくても、あたしの口は条件反射のように動く。



「嫌」


ただ一言だが。



「嫌って言われても嫌」


シンさんの子供みたいな返事に、『え?』と考える間もなく、唇に押し付けられる熱さを感じた。




その瞬間




あたしは力一杯シンさんの胸を押し返した。


そんなあたしの反応はシンさんも予想外だったのか、簡単にあたしに押され、運転席側のドアに頭をぶつけたようだった。

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