キスまでの距離


「それよりも、もう大丈夫か?」


「あ、はい。もう落ち着きました」


シンさんの真剣な目にドキリとする。



「遅れるなんて申し訳ないです。起こしてくれたらよかったのに……」


あたしはシンさんの瞳から視線を外した。


「いや、今日はあのまま連れて行けないよ。さっきのおまえがサボると思ったってやつさ、あれ今日は従業員がおまえ以外全員男なんだよ。だから、おまえが落ち着くのを待ってた」



視線を外したその先に、あたしは驚いて目を見開いていた。

シンさんが何か言っているが、それどころではない。

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