キスまでの距離
思わず顔を上げると、シンさんはあたしのとった距離を縮めていた。
あたしはびっくりして一歩後ろに下がろうとしたが、シンさんに腕を掴まれてしまう。
「唯、俺は彼氏だろ?普通彼氏ってのは近くにいるモノだろ」
「だ、だけどそれは……、無理矢理……ッ」
付き合ってって言った訳でも、好きな訳でもない。
それなのに、そんなに側に寄られて耐えられるわけがない。
「おまえさぁ、男怖いの治したいんだろ?」
あたしは小さく頷いた。
男に慣れるためにバイトを始めたんだ。