キスまでの距離


いつしかシンさんの瞳から目が離せなくなっていたとき


「唯、シンさん。いい加減仕事してくれない?」


にっこり微笑みながら、こめかみに青筋が浮かんでいそうなハルに声をかけられた。


「ご、ごめん!」


あたしは慌てて仕事を再開しようと周りを見回して、思い出した。


「そ、そうだ、ハル!なんで今日女の子私だけなの!?店長は!?」



ハルは客席をダスターで拭きながら答えた。


「今日は休みだよ」



それを聞いて、あたしは
固まった。

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