キスまでの距離
どうしてそこまで、あたしの男性恐怖症を治そうとしてくれるの?
出会ったばかりで有り得るわけないのに、あたしのことを好きなんじゃあって自惚れてしまいそうになるよ――……。
それと同時に、男を好きになってしまいそうな自分が怖い。
もう誰も好きにならない。
誰も信じない。
そう決めたのに―――……。
あたしはそれ以上シンさんの瞳を見ることも、何か言葉を返すこともできなくて、シンさんの手を振り払って車から降りた。