キスまでの距離
確信犯だったのかとわかり、あたしは涙目でハルを睨んだ。
「……バカ」
ハルの言う通り、あたしは男性恐怖症なの。
男が怖い。
唯一普通に接することができるのは、幼なじみのハルだけ。
そんな自分を変えたくて、あたしはハルの勤めるこのレストラン胡蝶で働くことにした。
ここは地元では有名なお店。
客席が10席ほどの、大きすぎず小さすぎず、でも少しこじんまりとした店だ。
親と食べに来て、感動しちゃうくらいにおいしかったのを覚えている。
まぁ、最後に来たのは男性恐怖症になる前だから、もう4年も前のことだけど。