キスまでの距離
2.優しさ
「遅い」
部屋に入ると、仏頂面をしたシンさんがあたしのベットに座っていた。
「……シ、シンさん」
すっかりシンさんのことを忘れていたあたしは、驚きで涙が止まった。
というか、泣いていたことに今気付いた。
こんなことにも気付かないくらい、あたしはいっぱいいっぱいだったようだ。
「俺、30分も待ったんだけど、どこ行って……て、泣いてる……?」
あたしの異変に気付いたシンさんが立ち上がって、あたしに近付いてきた。