キスまでの距離
どうしてシンさんはこんな顔をするのだろうか。
あたしへの同情で、あたしの男性恐怖症を治すためだけであたしに付き合ってくれているのだから、彼がこんな顔を見せる必要はないだろうに。
不思議な面持ちでシンさんを眺めていると、シンさんに抱き寄せられた。
それは余りに突然で、シンさんの腕から逃れる暇もなく、一瞬の間の後にあたしはシンさんの胸に顔を押し付けていた。
「シ……シンさん!?は、離して……!?」
「……何があったのかは知らないが、泣きたいなら泣いていいから。落ち着くまで側に居てやるから」