キスまでの距離


落ち着くわけはないと思った。


男とこんなに密着して、恐怖の方が勝つと思っていた。




しかし、シンさんの胸の中でシンさんに頭を撫でられていると、涙が次々と溢れてきた。


止まらないんじゃないかと思うくらいの勢いでひとしきり泣くと、涙は自然と止まり、しばらくそのままシンさんの胸の中にいた。



怖いとか腕から逃れたいとか、普段男に感じることを不思議と感じなかった。


シンさんの鼓動が心地よかったんだ。



「あ〜あ、ウサギの目みたい」

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