キスまでの距離
シンさんがあたしから少し離れて言った。
あたしはシンさんに顎を持たれ、半ば無理矢理顔を上げさせられていて、とても恥ずかしい。
泣いた後の顔なんてボロボロなのに、まともに見られているのだから。
「まあ、いっか」
シンさんはそう言うと、あたしの手を引っ張って部屋から出た。
「え……、ちょっ……!?」
まさかこんな顔のまま花火大会に連れていかれるの!?
人込みに行くのも嫌だが、こんな顔をその人込みで晒すのはもっと嫌だ。