キスまでの距離
しかし、あたしの抵抗も虚しく、シンさんの足が止まることはなく、家の前に止めていた車に押し込められてしまった。
「シンさん、こんな顔で嫌だよ!」
あたしは慌てて車から降りようとした。
しかし、シンさんによってシートベルトを締めさせられていたため、ドアを開けようとした瞬間に車に乗り込んだシンさんにロックをかけられてしまった。
そして、すぐにシンさんはアクセルを踏み込み、車を発進させたのだ。
花火大会は近所の海で開かれるため、車は花火大会に向かう人々の間を走り抜けていく。
あたしはそれをげんなりとした面持ちで助手席の窓から眺めていた。