キスまでの距離


一体どうしてと、辺りを見回した時、パアァンという音と共に日の沈んだ空が明るくなった。


何?と思い、音の方を見ると、夜空には大輪の華が咲いていた。



「うわ〜、綺麗……」


思わず口元に笑みを浮かべながら、あたしは呟いた。



「だろ?ここ、穴場なんだ。綺麗に見れるのに、皆海岸行ってて人がいない」


シンさんがあたしの右横に並びながら言った。



確かに、辺りを見回しても他に人はいない。


次々と上がっていく花火を、なんだか二人占めしているみたいだ。

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