キスまでの距離




しばらくぼうっと花火を眺めていると、やがて花火の打ち上げがストップした。


花火自体はまだまだあるはずだが、次の連続打ち上げまでの小休止といったところか。



他に人のいない公園は一気に静寂に包まれる。



「まだ小一時間は上がるはずだから、向こうのベンチにでも座ろう」


そう言ってベンチに向かうシンさんを追い掛け、ベンチに腰かけた。


「おまえ、それだけ距離空けられると傷つくんだけど。仮にも俺は彼氏だって言うのに」


言われてシンさんとの間を見てみると、確かに不自然なほど空いていた。

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