キスまでの距離
開けてないのに、とあたしが驚き固まっていると、中からハルが顔を覗かせた。
「やっぱり居た。階段上る音が聞こえたのに、入って来ないから変だと思っていたんだ」
そう言うハルの顔は笑っていた。
どうして?
どうして、あんなことがあったのに、そんな風に笑えるの?
あたしはわからず立ち尽くしたままでいると、ハルが表情を変えて言った。
「……ごめん。話したいことがあるから、とにかく入って?」
まるで自分の部屋のように言うハルに促されて、あたしはベットに腰掛けた。