キスまでの距離
あたしは訳がわからなくて、シンさんの次の言葉を待った。
しかし
「それは――」
「……おはようございます」
裏口から入ってきた誰かの声に遮られた。
声のした方を見ると、入ってきたのはハルだった。
「あ……、おはよ。ハル」
あたしは挨拶を一方的に言うと、そそくさと事務所を後にした。
「あ、おい、森永!?」
急にあたしが話を中断して出ていったからか、驚いたようなシンさんの声が後ろから聞こえたが、あたしは構わなかった。