キスまでの距離
ドキンドキンと警告音を鳴らしながら、額に冷や汗を浮かべていると、シンさんに顔を覗き込まれた。
いつの間にか車はあたしの家の前に着いて、止まっていたのだ。
「ハルと何かあった?」
シンさんは真剣な瞳であたしと視線を交わらせながら、もう一度問う。
あたしはそんなシンさんの視線から逃げようとしたが、余りに近くにシンさんの顔があるため、逃げ場がない。
どこに目をやってもシンさんが視界に入るんだ。
穴という穴から汗が吹き出ている気がする。
一体どうごまかせば――……。