今日から悪魔を目指します!

第4話『今日から悪魔と晩ご飯!』

今日の授業も終わって終礼の後、真菜とアイリは一緒に昇降口を出た。

「じゃあね、真菜ちゃん。また明日ね」
「うん、アイリちゃん、また明日」

すっかり打ち解けた二人であったが、一緒に帰れるのはここまで。
校門の先からは、別々の世界に帰るからだ。

(せっかく友達になれても、なんか寂しいなぁ……)

そう思いながら、真菜は校庭の真ん中に向かって歩くアイリの背中を見つめる。
しかし、アイリの向かう先を見て驚く。
校庭の真ん中に、巨大な黒い犬の魔獣が佇んでいたからだ。
アイリは魔獣の元へ辿り着くと、慣れた様子で魔獣の背中に飛び乗った。
アイリを背に乗せた魔獣は、コウモリのような巨大な羽根を広げて飛び立つ。
そして、校舎とは逆方向に向かって、あっという間に飛び去ってしまった。
その様子を昇降口の前で呆然と見ていた真菜の後ろから、コランが声をかけてきた。

「真菜!なに突っ立ってんだ?一緒に帰ろうぜ!」
「い、今、アイリちゃんが魔獣に乗って帰って行ったんだけど……!」
「あぁ、アイリは行きも帰りもアレだぜ」

送り迎えが魔獣って、なんとダイナミックな光景だろうか。
魔王の学校に通うくらいだから、きっと良い家柄のお嬢様なのだろう。
アイリは気弱で大人しいが、強力な魔法を放ったりと、そのギャップに驚かされる。

「やっぱりアイリちゃんって、カッコいい……」

そう呟いた真菜に同調するかのように、コランもまた呟いた。

「うん。アイリはすごいよな」

そう言った時のコランの表情には、少し暗い影があった。
遠くの空を見つめ続けている真菜は、それに気付かない。
あれ?あの魔獣って確か、防災訓練の時の魔獣と同じ……?
空の彼方に小さく消えていく魔獣を見ながら、真菜はそんな事を考えていた。

こうして、真菜とコランは二人で校門を通って人間界へと下校する。
人間界では生命力を消費するコランは、常に真菜の近くを歩きたい。
それに二人は、同じマンションに住んでいる。
毎日、下校を共にするのは自然であり当然なのであった。
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