今日から悪魔を目指します!
校門を出ると、そこは人間界の住宅街の道。
二人は並んで、自宅マンションまでの道のりを歩く。

「なぁ、真菜。どうだ、魔界の学校は楽しいか?」
「……面白いとは思うけど、楽しいかどうかは分からないわ」
「ははっ」

真菜の曖昧な返事を、コランは笑い飛ばした。
この悪魔の少年は、真菜が何を言っても前向きに受け止めて返す。

「面白いならいいじゃん!真菜って本当、なんていうか…アレだな」
「アレって何よ」
「いつも…なんか、すっごい冷めてる!」
「……あなたが熱すぎるのよ」

コランのように何事も楽しめたら、どんなに毎日が楽しいだろうか。
それでいて、真直ぐに一人前の悪魔を目指すコランには好感が持てる。
だからこそ、その手助けとして、コランと契約を交わしたのだ。

分かれ道でふと、真菜が足を止めた。

「私、これからスーパーに寄るけど、いい?」
「うん、オレも行く!!」

真菜から離れたくないコランは、当然の返事をした。
一人暮らしの真菜は、食材などの買い出しも自分で行うのだ。
一人暮らしといえば、コランも……。

「コランくんって、人間界のお金持ってるの?」
「うん。父ちゃんは以前、人間界で働いてたんだぜ」
「へぇ……」

謎の多い魔王である。

二人は、自宅マンションの近くにある食品スーパーに入った。
コランも買い物カゴを持って、精肉の売り場を念入りに見ている。
真菜が自分の買い物カゴに目的の食料品を入れ終わると、コランと合流する。
そして、コランの買い物カゴを見た真菜が驚く。

「えっ!?コランくん、そんなに買うの?」

コランの買い物カゴには、生肉のパックが山盛り。
豚やら牛やら、とにかく肉しかない。

「ん?真菜は、それだけなのか?もっと肉食えよ」
「いやコランくんが、お肉ばかり食べ過ぎでしょ!?」
「肉食わないと、元気な悪魔になれないぞ」
「元気な人間になりたいの!」

そういえば、悪魔は肉食だった……。
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