今日から悪魔を目指します!
二人は小さなテーブルに向かい合って座る。
目の前には、湯気が立ち上る肉料理の数々。

「すごいな、真菜は……魔法みたいだ」
「魔法が使えなくても、やればできるものよ」
「……そうだな」

なぜか一瞬、コランが暗い表情をしたのが気になった。
コランはたまに、突然スイッチが切り替わるように表情を変える時がある。
それは、ほんの一瞬なのだが……。
しかし肉料理を食べ始めると、二人ともテンションが上がる。
これはまさに、お肉パーティーだ。

「オレ、やっぱり冷蔵庫いらないや」
「え?なんでよ、必要でしょ?」
「毎日、真菜にご飯作ってもらうから、いいや!」
「えぇ~!?」

言われてみれば、なんの抵抗もなくコランを家に上げて一緒にご飯を食べている。
前に一度、家に上げた事があるせいか、不思議と何とも思わなかった。
そのくらい、コランが側にいる事が自然に感じられたのだ。

「……いいけど、食材は自分で買ってきてね?」
「やったー!!ありがとう、真菜!!大好きだ!!」

……やっぱり、サラッと告白してくる。本当に深い意味はないのだろうか。
でも確かに、一人で晩ご飯を食べるよりは楽しい。
コランが底抜けに明るいからだろう。
生命力を与えている立場なのに、逆に元気をもらっている気がする。
食事を食べ終えると、学校の話になった。

「なぁ、真菜はアイリと仲良くなったんだろ?」
「うん。アイリちゃんって、大人しいのに強くてカッコ良くて……」
「アイリって可愛いよな」

コランの突然の言葉に驚いた真菜は、口を閉ざし黙りこむ。
コランが誰かを『可愛い』と言ったのが意外だった。
いつも真菜の側に寄ってはくるが、褒め言葉を言われた事なんてない。

「アイリは真菜と友達になれて嬉しいんだ。仲良くしてやってくれ」

コランがアイリの事を話す時に感じる感情は、真菜に向けられるものとは違う。
真菜は直感で確信した。
コランがアイリに、真菜とは違う愛情を向けているという事実を。

……あれ?
なんか、モヤモヤする……

これ以上、話を聞くのを恐れている自分がいる。
コランが自分に好意を寄せてくるのは、生命力が目当てだから……。
そんなの、最初から分かってたはずなのに。
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