今日から悪魔を目指します!

第5話『今日から魔法の授業!』

ついに恐れていた、この日が来てしまった……。
今日から、魔界の学校で『魔法』の授業が始まるのだ。
他の科目なら何とかなるが、これだけは何とかなる気がしない。
どんなに頑張っても、魔法なんて使えるはずがないのだから……。




3時間目が終わり、次の4時間目は『魔法』の授業だ。

(どうしよう……こんな日に限って……)

真菜は自分の机の中を探るが、目当ての教科書が見当たらない。
その様子に気付いた隣の席のコランが声をかける。

「真菜、どうかしたのか?」
「あ、うん……『魔法』の教科書を持ってくるの、忘れちゃったみたい」
「それなら、図書室に予備があるから借りればいい」
「え、そうなの!?」

学校だから図書室があるのは当然なのだろうが、まだ行った事がなかった。

「図書室は3階だ。一緒に行こうぜ」
「ありがとう……」

それでも、悪魔のコランは今日も優しい。
人間界だけでなく魔界の学校でも、常に側に寄り添ってくれる。



図書室は食堂と同じく、3階にある。
そして図書室は、食堂よりも遥かに広い。
見渡す限りの本棚が並んでいる。

「ほら、真菜、ここだ。ここに一通りの教科書がある」

コランの案内で、無数の本棚の中から簡単に教科書の在り処まで辿り着けた。

「良かったぁ……いざという時は安心ね」
「何回も教科書を借りると、父ちゃんにお仕置きされるぞ」
「えっ、それは怖いわ、気をつける……」
「ははっ」

本を持って図書室から出ると、誰が持ち出したか分かるようになってるらしい。
便利なシステムだが、魔王に監視されてると思うと、ちょっと怖い。

「魔法の授業は『魔法室』でやるから、行こうぜ!」
「え……『魔法室』?」

聞き慣れない言葉に、真菜は首を傾げる。
理科室みたいな感じだろうか……。
この学校について知らない事が多すぎて不安を感じる。
事前に教科書は届いたのに、案内書はなかった……。
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