今日から悪魔を目指します!
4時間目の魔法の授業が終わると、昼休みだ。
教室に戻った真菜が、教室内にアイリの姿がない事に気付いた。
いつも一緒にお昼ご飯を食べるのに、どこに行ったのだろうか。

(まだ魔法室にいるのかな?)

真菜は再び、教室の隣にある魔法室に行ってみる。
出入り口の引き戸が少し開いていたので、そこから中を覗いてみる。
そこから見えるのは、教卓の前で何かを話しているアイリとディアの姿だった。
他に誰もいない静かな教室に、二人きりで……なんだか入りにくい。
この位置からでも、微かに二人の会話が聞こえてきた。

「ねえ、ディア。私、この学校を卒業できるかな……?」
「大丈夫ですよ、アイリ様。私がお側で見守っております」
「うん。学校でもディアに会えるのが嬉しいから……がんばるね」
「はい。私も嬉しいです」
「ふふ、ディア……好き」

そう言って、アイリはディアの胸に抱きついた。
ディアも慣れた様子で、自然な動作で優しく抱きしめ返す。
……そんな二人の姿は、まるで恋人どうし。
それを見てしまった真菜は、咄嗟にドアから離れた。

(こ、これは……まさか……そういうこと!?)

これ以上、二人の世界を見てはいけない。聞いてはいけない……気がする。
先生と生徒であり、側近と王女……なんとも禁断の恋を漂わせている。
真菜は早足で自分のクラスの教室に戻った。

まだ、ドキドキしている。

大人しいアイリが、あんなにも大人な恋をする少女だったとは……。
自分の席に戻ると、机の上に置きっぱなしの教科書を見て思い出した。
そうだ、借りた教科書を返しに行かないと……。
真菜は『魔法』の教科書を手に持つと、3階の図書室へと向かった。
先ほどコランに教えてもらったので、どの場所に返せばいいのかは分かる。
真菜は一人で図書室に入る。
昼休みという事もあり、誰もいないようだった。
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