今日から悪魔を目指します!
静かな図書室の中、本棚に挟まれた通路を真菜は歩いていく。
目的の本棚の手前に、見覚えのある男子生徒がいた。
どうやら本を探していたらしい彼は、通りかかった真菜と目が合った。
「やあ、真菜さん」
微笑しながら軽い挨拶をしてくる、その少年。
悪魔特有の褐色肌に黒髪、緑の瞳。
その漆黒カラーとクールで知的な雰囲気は、まさに悪魔という印象だ。
彼がクラスメイトなのは分かる。この学校にはクラスが1つしかないのだから。
だが真菜はまだクラス全員とは話せていないし、名前も覚えていない。
「あ、えっと……」
「僕の名前はレイトだよ」
そう名乗ったレイトは、コランよりも落ち着いていて大人っぽい。
いや、コランが幼すぎるので、これが年相応の落ち着きだろうか。
レイトは片手に分厚い本を数冊、抱えて持っていた。
「難しそうな本……レイトくんは本が好きなの?」
「まぁね。この図書室の本は全部読むつもりだよ」
「ええ!?全部!?」
この図書室は、向こう側の壁が霞んで見えるほどに広い。
一体、1日に何冊読めば全部の本を読めるのだろうか。
レイトは図書室の全体を見渡しながら言う。
「ディア先生は、この図書室よりも大きい王宮の城の図書館の本を読み尽くしたんだよ」
「そうなの!?ディア先生、すごい……!」
「魔王サマに仕えるのなら、少しでもディア先生に近付かないとね」
レイトは魔王を敬い、純粋に立派な悪魔を目指しているのだと感じた。
だからこそ魔王の側近であるディアに憧れ、目標にしているのだ。
なんだか真菜は、中途半端な志で学校に通っている自分が申し訳なくなってきた。
「ところで真菜さん、大丈夫?」
「え、なにが?」
「人間は、魔界で活動すると体力を消耗するから、毎日通うのは辛いよね」
「え……大丈夫、普通だけど……?」
真菜は魔界で活動していても、激しく体力を消耗したと感じた事はない。
やはり『最強の生命力』を持つからだろう。
体力よりも精神の方が消耗している気がする。
「ふ~ん……すごいね」
そう言って、レイトは真菜を真直ぐに見つめる。
鋭く冷たい印象の悪魔の瞳に見つめられ続けると、ちょっと戸惑う。
目的の本棚の手前に、見覚えのある男子生徒がいた。
どうやら本を探していたらしい彼は、通りかかった真菜と目が合った。
「やあ、真菜さん」
微笑しながら軽い挨拶をしてくる、その少年。
悪魔特有の褐色肌に黒髪、緑の瞳。
その漆黒カラーとクールで知的な雰囲気は、まさに悪魔という印象だ。
彼がクラスメイトなのは分かる。この学校にはクラスが1つしかないのだから。
だが真菜はまだクラス全員とは話せていないし、名前も覚えていない。
「あ、えっと……」
「僕の名前はレイトだよ」
そう名乗ったレイトは、コランよりも落ち着いていて大人っぽい。
いや、コランが幼すぎるので、これが年相応の落ち着きだろうか。
レイトは片手に分厚い本を数冊、抱えて持っていた。
「難しそうな本……レイトくんは本が好きなの?」
「まぁね。この図書室の本は全部読むつもりだよ」
「ええ!?全部!?」
この図書室は、向こう側の壁が霞んで見えるほどに広い。
一体、1日に何冊読めば全部の本を読めるのだろうか。
レイトは図書室の全体を見渡しながら言う。
「ディア先生は、この図書室よりも大きい王宮の城の図書館の本を読み尽くしたんだよ」
「そうなの!?ディア先生、すごい……!」
「魔王サマに仕えるのなら、少しでもディア先生に近付かないとね」
レイトは魔王を敬い、純粋に立派な悪魔を目指しているのだと感じた。
だからこそ魔王の側近であるディアに憧れ、目標にしているのだ。
なんだか真菜は、中途半端な志で学校に通っている自分が申し訳なくなってきた。
「ところで真菜さん、大丈夫?」
「え、なにが?」
「人間は、魔界で活動すると体力を消耗するから、毎日通うのは辛いよね」
「え……大丈夫、普通だけど……?」
真菜は魔界で活動していても、激しく体力を消耗したと感じた事はない。
やはり『最強の生命力』を持つからだろう。
体力よりも精神の方が消耗している気がする。
「ふ~ん……すごいね」
そう言って、レイトは真菜を真直ぐに見つめる。
鋭く冷たい印象の悪魔の瞳に見つめられ続けると、ちょっと戸惑う。