今日から悪魔を目指します!
真菜とコランが晩ご飯を食べ終わると、いつも学校の話題になる。
だが今の真菜は、色々な疑問と不安で一杯だった。
どこまでコランに相談していいのか、なかなか言い出せない。
全てを知りたいのに、全てを知るのが怖い。

「私、本当に立派な悪魔になったら、どうしよう」
「え?オレ達、立派な悪魔を目指してるんじゃん!面白いなぁ、真菜は~!」

あぁ…予想通り、笑い飛ばされてしまった。
でも、コランの明るい笑顔を見ていると、心配や不安も吹き飛ぶ気がする。

「コランくんは王子だから、将来は魔王になるんでしょ?」

あの学校の生徒達は、魔王の(しもべ)として、立派な悪魔を目指している。
だが、コランはそんな悪魔たちの君主、未来の魔王なのだ。
コランは急に重く沈んだ表情になる。

「父ちゃんは、アイリに後を継がせるかもしれない」
「え?アイリちゃんを?どうして……」
「それを決めるために、オレとアイリを入学させたんだ」

長男のコランではなく、妹のアイリを女王として継がせる?
どちらが王に相応しいか、それを学校で見極めている?
一体、どんな事情があるのだろうか。

「オレのお母さんは人間なんだ」
「あ、うん。授業で習ったわ」
「オレは生まれつき魔力が弱いけど、アイリは完璧な魔力を持って生まれたんだ」

コランは人間の血を濃く受け継いで、悪魔として完璧な魔力を持って生まれなかった。
だが妹のアイリは、魔王の魔力を完璧に受け継いで生まれた。
容姿に関しては、コランは魔王似、アイリは母親似。なんとも皮肉な運命だ。
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