今日から悪魔を目指します!

第8話『今日から魔界は体育祭!』

夏休みが終わり、季節が秋に近付いた頃。
ホームルームの時間に、魔王が堂々と宣言した。

「明日、体育祭を行う!!体力テストも兼ねているからな!!」

夏休みの時もだが、魔王はいつも突然、学校行事を言い渡す。
この学校の体育祭は、クラス20人全員が全ての競技に参加する。
体育祭というよりは、一日の授業が全て体育なだけだ。

「あくまで体力勝負だ。当然ながら魔法と羽根の使用は禁止だ!!」

魔法はともかく、羽根がない真菜に何も異論はない。

終礼の後、真菜の席から、レイトが机に突っ伏しているのが見えた。
心配になった真菜がレイトに声をかけに行く。

「レイトくん、どうしたの?具合でも悪いの?」

するとレイトは顏を上げるが、目が半開きで元気のない顏をしている。

「具合も悪くなるよ、だって体育祭だよ?」

すると突然、レイトが座る椅子の後ろから、コランが抱きついてきた。

「レイトは運動が苦手だもんなぁ~」
「くぅっ……インドア派と言ってほしいな」
「本ばっか読んでるからなぁ~」
「王子は、もっと本読みなよ」

確かに普段の授業を見ても、レイトは勉強が得意だが体育は苦手だ。
コランとアイリは魔法が苦手なだけで、他は普通に見える。

「じゃあ真菜、帰ろうぜ~」
「あ、うん……ねぇ、コランくんは元気なの?」
「ん?オレはいつも元気だぞ」
「……そうだよね」

『具合が悪い』と言えば……最近、コランの様子がおかしい気がする。
いつもの元気がないというか、たまに辛そうな顏をするのだ。
『疲れている顏』というのがピッタリくるかもしれない。
慣れない人間界での一人暮らしで、疲れが出てきたのかもしれない。
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