今日から悪魔を目指します!
その日の夜、真菜は気合いを入れて晩ご飯を作った。
今日も真菜の家のリビングでご飯を待っているコランのためだ。

(明日は体育祭なんだから、お肉料理で元気になってもらわなきゃ)

とは言っても毎日、作るのは肉料理なので変わらない。


「ごちそうさん!……じゃあ、今日はもう帰るな」

いつもならご飯の後は色々と学校の事を話したりするのだが、今日は違った。
帰ろうと椅子から立ったコランの前に、真菜は急いで立ちはだかった。

「コランくん、両手出して」
「ん?」

訳も分からず言われるまま、コランは両手の手の平を向けて差し出した。
真菜は両手で、コランの両手に重ねてぎゅっと握った。両手で握手だ。

「え?な、なんだよ!?」
「明日、元気に体育祭を頑張れるように、パワーを送るね」

パワーとはつまり、生命力の事だ。
お互いに触れる事で、コランは真菜の生命力を吸収しやすくなる。

「どう?元気出た?」
「え、あ、う、うん……ありがとな」

コランを元気づけようとした真菜の行動だが、コランの反応は意外だった。
なんと、顏を真っ赤にしているのだ。そして握った手が熱い。
こんな反応をされると、真菜の方が恥ずかしくなる。

「じゃ、じゃあ、オレ、帰るな」
「うん、また明日ね」



コランが帰ると、真菜は自宅に一人。
真菜は、まだ自分の胸がドキドキしている事に気付いた。
いつもは、ほっぺにチューとか言ってくるくせに、なんで、あんな顏を……?
コランが最近、元気がないのと関係があるのだろうか?

(なんか、私も調子が変になってきちゃった……?)

今夜は眠れるだろうか。明日の体育祭は大丈夫だろうか。
……コランくんは……
そんな事を考えながら、真菜はテーブルの上のお皿を片付け始める。
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