今日から悪魔を目指します!
ここで昼休みになり、生徒たちは校舎に戻って食堂で昼食を食べる。

そして午後、最後の競技『マラソン』が始まる。
今までの競技と違うのは、学校の外を走るという事だ。
魔王がマラソンの説明をする。

「オレ様の城の前まで行って、この校庭に戻ってきたらゴールだ」

校門を出ると、魔王の城まで一直線の並木道が続く。
城の前に着いたらUターンして、この校庭まで戻ってくるのだ。
しかし、魔王の城は霞んで見えるほどの遥か先にある。
そのため、時間や着順を競うのではなく、完走さえすれば良いルールだ。
当然ながら、羽根を使って飛んで行くのは禁止だ。

「よーい、始め!!」

一斉に生徒たちは魔王の城を目指して走り出す。
真菜とコランは、手を繋いで校門を出ないと人間界に転移されてしまう。
そのため、最初は一緒にスタートした。

「真菜ちゃん、お兄ちゃん、私も一緒に走る」
「あ、僕も……みんなでゆっくり行こうよ」

そこにアイリとレイトも加わり、いつもの『仲良しメンバー』で走る事に。
走ると言っても形だけ、のんびり早歩き程度だ。
特にレイトは運動が苦手なので、ゆっくりでないと追い付けない。
真菜は前方を見ながら隣のコランに話しかけた。

「うわぁ…お城が遠くに見える。あそこまで何分くらいかかるのかなぁ?」

だが、横を見るとコランの姿が見えない。
真菜が足を止めて振り返ると、少し後ろでコランが立ち止まっている。

「コランくん、どうしたの?」

真菜がコランの所まで戻る。それを見たアイリとレイトも後を追う。
コランは激しく息を切らしている。

「いや……ちょっと、疲れただけ、だ……」
「うそ!そんなに疲れるほど走ってないよ!やっぱり具合悪いんでしょ!?」

真菜は、コランの体に何か異変が起きたと思って心配する。
ここ最近のコランは、たまに元気のない顏をする時があったからだ。
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