今日から悪魔を目指します!
コランがリストバンドを腕に着けると、計測器の画面に数字が表示される。
それをレイトが見る。

「血圧、魔力、体力は正常……え?生命力が異常に低い…!」

その数値が示すのは、予想外な結果だった。

「どうして!?コランくんは、私の生命力を吸収してるんでしょ?」
「お兄ちゃんは、真菜ちゃんと契約してるのに、なんで……」

アイリも心配そうにしてコランの顏を見る。
だがコラン自身も、どうしてなのか分からない様子だ。
その時、レイトが何かを思い付いた。

「王子、契約に使った『黒い本』を確認してみて」
「なんだよ、ちゃんと契約はしたぞ!」
「いいから出して」

コランはしぶしぶ、魔法で『黒い本』をその手に出現させた。
この『黒い本』は、真菜と契約する時に使用したもの。
あの時、白紙だったページに契約の証の『印』が2つ刻まれた。
そしてコランが今、再び、この本を開いてみるが……

「あ、あれ!?ない!!印がない!!あの時、確かに押されたのに!!」

契約の証である『印』の紋章が、どのページにもない。
真菜と契約した時に、二人の手形である『印』が2つ押されたはずだ。

「まさか、オレが契約に失敗したのか!?」
「いや。押した印が消えたって事は、契約解除されたって事じゃないかな」
「なんでだよ、オレは解除した覚えはないぞ!」
「うーん、契約違反で強制解除された、としか……」

レイトの言葉に、真菜は恐る恐る問いかける。

「レイトくん。契約違反って……どういう事なの?」

この時の真菜には、もしかしたら、という考えがあった。
でも、それを認めたくなかった。言われたくはなかった。

「違反として考えられるのは……」

レイトが、何とも言えない複雑な表情で真菜を見る。
その表情で真菜は気付いた。
レイトが言おうとしている言葉が、自分が一番恐れていた真実だという事に。

「契約者が、人間ではない」
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