今日から悪魔を目指します!
「でも今、私が門を通ったのに、人間界に転移されなかったけど?」
「それは、オレと手を繋いでいたから!」

誰かと手を繋いで通ると、門のセンサーが反応しないらしい。
仕組みは分かったが、そこまでする理由が分からない。

「一体なんで、こんな手の込んだ事を私にするの?」

そこまでして、真菜を『悪魔の学校』に通学させたい意図とは何か。
しかも魔王の『(しもべ)』として……。

「それは、真菜が『選ばれた最強の人間』だからだ」
「何なのよ、それ!私、普通の中学生になりたいのに……」
「え?普通じゃないから楽しいんだろ?」

何を言ってるんだ、みたいな顏でコランに笑われてしまった。
悔しいが、この純粋無垢な笑顔は、どうも憎めない。

「とりあえず帰りたいんだけど、どうやったら帰れるの?」
「もう一回、内側から門を通ればいいんだ」

二人は校門の内側、魔界の学校側に入る。
今度は手を繋がずに門の外に出れば、真菜だけが人間界に転移される。
コランはそのまま、魔界の自宅へと帰るのだろう。
門の外には人間界の景色が見えていて、雨は止んでいる。
校門の前で、真菜はコランと向かい合う。

「コランくん、色々と教えてくれてありがとう」
「うん!また明日な!!」

そうか、また明日もあるのか……と、真菜はこの先の学校生活を思って遠い目をした。

「真菜、一緒に一人前の悪魔になろうな!!」

「一人前の人間になりたいんだってば……」
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