今日から悪魔を目指します!
アヤメは、真菜が魔界の学校に通う事になった経緯を全て話した。
真菜を魔界の学校に通わせてほしいと魔王に頼んだのは、真菜の母親だという真実を。

「そうなんですか?まさか、お母さんが……」
「うん。私も母親だから分かるなぁ、お母さんの気持ち。それは優しさなのよ」

もしも真菜が学校生活の中で、魔力が目覚めてしまった場合。
魔界の学校であれば、それをコントロールする術を学べるからだ。
同じ仲間、コランやアイリと共に。

今までの真菜は『人間か死神か』の選択肢しか考えられなかった。
人間でもない、死神でもない、悪魔の学校だからこそ。
種族の枠にとらわれずに、未知の可能性を広げられる。
そこで、新たな夢も見付かるかもしれない。

「だって、お母さん、何も言ってくれないんだもん……」
「ふふ、言ってたら真菜ちゃん、反発してたでしょ?」

それはそうだ。真菜は最初は、人間の学校に通いたかったのだから。
真菜は今になって、両親とアヤメと魔王……そして、『みんな』の温かさを感じた。

この先、自分が何になるのかは、まだ分からない。
大事なのは、『今、何をしたいのか』。
それは、すでに決まっている。

「王妃様。私、これからも魔界の学校に通いたい」

アヤメは大きく頷いた。
真菜は真直ぐな瞳で言葉を続ける。

「学校が、コランくんが、みんなが大好き。だから一緒にいたい」

真菜の本心を聞いたアヤメは、嬉しそうに微笑んだ。
そして突然、席を立った。

「じゃあ、行こう、真菜ちゃん。学校へ」
「え?でも、どうやって……?」
「大丈夫。きっと真菜ちゃんの気持ちは届いてるから」

アヤメに言われるまま、真菜は玄関へと向かう。
そして、玄関のドアを開けた。
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