今日から悪魔を目指します!
コランの体から、オーラのように魔力が立ち上っているのが見える。
魔王ですら肌がピリピリするほどに、その強力な魔力を感じ取れる。

コランは、両手に握りこぶしを作って、全力で叫んだ。

「真菜に届け、オレのラブラブラブ・ファイヤーーーッ!!!」

いつもの決め台詞だが、『ラブ』が1つ多い。
その直後、背後でズゥゥン……という地響きが聞こえた。
驚いて、全員が後ろを振り返ると……




真菜が玄関のドアを開けると、そこの景色はいつもと違った。

「あ、あれ……?ここ、どこ……?」

よく見ると、目の前には見慣れた魔界の校舎がある。
という事は……

「えぇぇぇえ!?ここ、学校の校庭!?」

なんとマンションが、魔界の学校の校庭にあるのだ。
コランが発動した転移の魔法によって、マンションがまるごと転移されたのだ。
真菜の後ろでは、アヤメが静かに笑っている。

「あら……コランったら、すごい」
「王妃様、笑ってる場合じゃないです!大騒ぎになっちゃう!!」

そして、事態に気付いたコランたち。
校庭に建つマンションを目にして、それぞれが驚きの声を上げる。

「すげー……これが、オレの力なのか……」
「おぉ、息子、よくやった。予想以上だ」
「お兄ちゃん、すごい!!」
「うーん……王子、ちょっと、やりすぎじゃないかな……」

真菜とアヤメはマンションの1階まで下りて、校庭に出る。
そして、急いで魔王にマンションを元の人間界に転移してもらった。

「ええ!?これって、コランくんの魔法なの!?すごい……」
「オレの真菜への愛の力だ!!」
「……それ、やめてよ、恥ずかしい……」

それでも真菜は嬉しかった。
コランが自分をここに呼び寄せてくれた事が。
もう会えないかもしれない、そう思っていたから。
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