今日から悪魔を目指します!
真菜は思わずコランの手を取って喜んだ。

「コランくん、すごい!それって、すごい事だよ!!」
「そ、そうかな……えへへ」

悪魔でありながら、無契約でも人間界で活動できる。
人間でもありながら、強大な魔力を持つ。
コランは人間との混血であるからこそ、両方の能力を受け継いだ。
きっと将来は前例のない、史上最強の魔王となるに違いない。
まだまだ、これから魔法のコントロールを学ぶ必要はあるが……。

魔王が、コランとアイリを自分の学校に入学させた理由。
それは、競わせるためでもなく、跡継ぎを決めるためでもない。
真菜の母親と同じく、親としての『優しさ』と『見守り』なのだ。

そこへ、アヤメが前に出てきて、ポンっと手を叩いた。

「みんな、お腹空いたでしょ?今日は食堂で夕食を食べて。すぐ作るから」

気付けばもう、夕暮れ時であった。

「お腹空いた~!行こうぜ、真菜」
「うん」
「あのな、オレが魔王になったら、その時は真菜を……」
「え、なに?」
「やっぱ、まだいいや!!」
「えー、また?それ、気になるんだってば!」


こうして、長い長い魔界の体育祭の一日は終わったのであった。
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