今日から悪魔を目指します!
「王子、告白するなら今じゃないの?」

レイトに背中を押されて、コランは恥ずかしそうに真菜の前に立つ。
告白って……?と、真菜はドキドキしながらコランを見る。
コランは、真直ぐな赤い瞳で真菜を見る。

「真菜。オレが魔王になったら、その時は真菜を……」

ついに、その言葉の先が聞ける。
真菜はもう、返事はとっくに決めている。
この先、自分がどうしたいのか。何を目指すのか。
きっと、コランの言葉が……その答えなのだから。


「オレの側近にしたい」


「…………は?」


予想外の言葉が飛び出て、真菜は変な声しか出なかった。
そんな真菜の心も知らず、コランはいつもの口調で続ける。

「最強の生命力と魔力を持つ真菜だったら、自慢の側近だもんな!」
「真菜さんと僕、二人で王子の側近になるってのもいいよね!」
「お!いいな、それ!!最高じゃん!!」
「それなら真菜ちゃんもレイトくんも毎日会えるね。嬉しい」

真菜を置いて勝手に盛り上がる、魔界の3人。

……いやいや、そこは、『オレの妃にしたい』とか……
そういう、ロマンチックなのを期待していたのに!!

いや、言う訳がなかった。相手はロマンも何も考えない、無邪気なコランだ。
やっぱり、どこまでも自己都合だ……。
真菜は一人で大きな溜め息をつくが、よく考えてみる。

……側近。それも、いいかもしれない。

未来の魔王の側近を目指す。
今やっと、目指したい『夢』が見付かった気がする。

校門の前で4人は手を振り、別れる。
真菜とコランは人間界へ。アイリとレイトは魔界へと。
アイリは、少し後ろの方で待っていたディアの方へと駆け寄る。
そして、その勢いのまま、ディアに抱きつく。

「ディア、聞いて!真菜ちゃんとレイトくんは将来、お兄ちゃんの側近になるんだって!」
「それは楽しみですね」

ディアは、上目遣いのアイリに優しい笑顔で返す。
アイリは少し頬を赤くして言う。

「私は将来、ディアのお嫁さんになるね……」
「それは……楽しみです……」

ディアも頬を赤くしながら、大人になったアイリの姿を想像するのであった。
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