今日から悪魔を目指します!
卒業しても魔界には行けるものだと、当たり前に思って安心していた。

でも考えてみれば、真菜は中学3年から転入した。
そうなると、魔界の中学校は1年で卒業。
魔界に行けるのも、最初から『1年限定』だったのかもしれない。

「やだぁ……やだ!!……コラン…くん……やぁああ…!!」

雨を受けながら、地面に膝をついて、真菜は声を上げて泣いた。
真菜の頬を伝うのは、雨なのか涙なのか分からない。

「うっ…うっ……みん、な……」

もう魔界に行けなくて、みんなにも会えないなんて……

最初は勝手に、魔界の学校に通う事を決められて。
今度は勝手に、魔界に行く事を禁じられる。
どこまでも勝手すぎる。

真菜は今になって気付いた。
コランの存在が、魔界のみんなが、どれだけ大切な存在になっていたかを。
そして、そんな『みんな』から教わった事を思い出す。

校門の転移の魔法が停止されて、魔界に行けなくなった時。
あの時、コランくんは、どうしていたっけ……?

真菜は、泥だらけになった膝に力を入れて立ち上がる。
雨に打たれながら校門を通り、夜の暗い校庭の真ん中まで歩く。

そう。あの時、コランは魔法を使って、マンションごと真菜を魔界に転移させた。

……今度は、私の番だ。
私の力で、私の魔法で、コランくんに会いにいく。

大丈夫、今ならできる。
魔界の学校で、魔法の授業で、魔法の使い方は学んだのだから。
校庭の真ん中に立つ真菜は目を閉じて、深呼吸をする。
自分の中の魔力を、最大限に引き出す。

(お願い……コランくんに……みんなに、会いたい……!!)
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