今日から悪魔を目指します!
「コランくん、どうしてここに!?」

訪問者は、さっき学校の門の前で別れたばかりのコランだった。
どうしてコランが人間界にいて、真菜の家を知っているのか。
もしかして、後をつけてきた…?真菜の脳内では色々な憶測が飛び交う。
コランは真菜を見るなり突然、変な事を言い出した。

「真菜、オレと契約してくれ」
「は?契約?」

まるで何かの勧誘かのように言われて、真菜はハイとは言えない。
そんな無邪気な笑顔で『契約』とか言われても、こう答えるしかない。

「結構です。間に合ってます」
「お願いだよ、オレが間に合わないんだって!!」

今度は何やら必死な様相で訴えてくるので、とりあえず真菜はコランを家に入れた。
新しい学校生活の初日に、クラスメイトの男子を家に入れる事になるとは…。
だが、コランからは一切の悪気を感じない。
常にピュアな瞳をしていて、信じ難い話をされても心を許してしまうような不思議な少年だ。
とりあえずリビングのテーブルに向かい合って座った。

「真菜って一人暮らしなのか?」
「うん、まぁ……色々と事情があって」
「ふーん、変わってるな!」

人懐っこい悪魔の方が変わってると思う……と真菜が思っていると、コランが立ち上がった。
そして、そのまま勝手に真菜の寝室の方へと向かう。

「ちょ、ちょっと!そこは私の部屋!」

散らかっている訳ではないが、彼氏でもない男子に部屋を見られるのは恥ずかしい。
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