娘の親友 〜友情とセックスと一途な思い〜

一 俄雨

一 俄雨



金曜日午後八時。
 月一の本社での会議から帰った瑛二は一人晩酌でハイボールを飲みながらテレビを見ていた。
 ピンポン! ドアホンの音がして受話器を取る瑛二。
「こんばんは、明日香です」
「こんばんは、どうしたの? 美和はいないよ」
「少しいいですか?」
「ちょっと待って」
 瑛二は受話器を置いて玄関に行く。
 ドアを開けると高二になる娘の美和の小さい頃からの親友、明日香が私服で立っていた。
 にわか雨が降り出したみたいで、びっしょり濡れている。
「あ、降ってきたんだ。すごい濡れちゃってるね。風邪引いちゃうといけないから、とりあえず入って。今バスタオル持ってくるから」
「ありがとうございます」
 瑛二は急いでバスタオルを持って玄関に戻り明日香に手渡す。
「ざっと拭いて上がって」
「すみません‥‥‥」
 申し訳なさそうに明日香は受け取ったタオルで髪や体を拭いて玄関にあがる。
「けっこう濡れちゃってるね。脱衣所に行って。着替え持ってくから」
「はい」
 瑛二は自分のスウェット上下をクローゼットから出して脱衣所に持っていき明日香に声をかける。
「美和のじゃ小さいだろうから、これ、僕のだけど、濡れたの脱いで着替えて」
 脱衣所のドアがあけて明日香が着替えを受け取ろうと手を伸ばす。
 開いたドアから見えた明日香は下着だけの姿で、思わず目をそらす瑛二。
「あっ、ごめん、見るつもりなかったんだ」
「大丈夫です。着替えお借りしますね」
 脱衣所のドアを閉めて「ふぅ〜っ」とため息をついた瑛二。
 リビングに戻ってヤカンに水を入れてガスコンロに火をつける。

 少ししてスウェットの上下に着替えた明日香が脱衣所から出て来る。
「乾燥機お借りしました。服乾かすのに」
「うん、まあ座って、今あったかい紅茶淹れるから。それとも冷たいもののほうがいい?」
「おじさん、晩酌中なんですね。だったら私も一緒に飲もうかな‥‥‥」
「だ、だめだよ。まだ未成年なのに」
 驚いて声をあらげる瑛二。
「冗談です。紅茶いただきます」
 お湯が沸いたのでティーバッグで紅茶を入れて明日香に出す瑛二。
「ありがとうございます。おじさんも晩酌続けてください。お酌しましょうか?」
「あ、いや、そんな、気にしないで。美和、今日は夏菜子ちゃんのところにお泊まりだって、夕方着替えて出かけたみたいだけど」
「はい、知ってます」
「明日香ちゃんは一緒じゃないの?」
「いえ、今日は別です。おじさんにお話があってきました」
「僕に? 何の件かな? 美和のこと?」
「はい、あ、でも美和のことっていうよりおじさんのことです」
「えっ‥‥‥」
「美和から相談を受けました。美和どうしていいかわからないって‥‥‥」
「え、美和が僕のことで何か悩んでいるっていうこと?」
「はい。美和、おととい体調壊して午前中で早退したんですが、帰ったらリビングでAV見ながらおじさんがオナニーしているとこ見ちゃったんです」
「え‥‥‥」
「美和の名前を呼びながら、中に出すよ、美和、美和って言いながらおじさんが射精するところ、偶然見ちゃったって」
「う‥‥‥」と言葉に詰まる瑛二。
 一番見られてはいけない姿を娘の美和に見られてしまったことで激しく動揺してしまう。
「美和、おじさんのことホントに大好きなんです。おばさんが亡くなってから、この三年間、美和に寂しい思いをさせないように、ってテレワークできる仕事に転職してくれたり、家事とかも頑張っていろいろしてくれてることにすっごく感謝してるっていつも言ってます。自慢のお父さんだって」
「いや、それは親として当然のことだから‥‥‥」
「おじさんが自分のしたいこともしないで、美和との暮らしのことばっかりで、男性として満たされてないことも美和知っているから、だからおじさんがオナニーしているのをいやだとか気持ち悪いとか、そういうことは全然思わないって」
「‥‥‥」
「でも自分の名前を呼びながら、自分とセックスしていることを想像しながらおじさんがオナニーしているのには驚いたみたいで」
「あ〜、ホントにどうしようもない‥‥‥、ホントに恥ずかしい」
と頭を抱えて唸る瑛二。
「ホントに美和としたいとかそういうんじゃないんだ。成長して段々と美鈴の面影にすごく似てきて、それでつい美鈴とするみたいな感じで‥‥‥言い訳にもならないけど」
「私、美和から何て相談を受けたと思います?」
「‥‥‥自分のことを私が性欲の対象として見ていることが怖いとか、気持ち悪いとか‥‥‥」
「違います。美和、自分がお母さんの代わりにお父さんのことお口とか手でしてあげたいと思うんだけど、そういうこと言ったらお父さんにどう思われるんだろうって‥‥‥」
「え‥‥‥、そ、そんなこと‥‥‥」
「お父さんの性欲を満たしてあげたい、っていう思いがあるって」
「くっ‥‥‥!なんてことだ、自分の娘にそんなことまで思わせちゃうなんて、僕は最低の父親だ‥‥‥!!」と頭を抱えて嘆く瑛二。
「おじさんは彼女とかいないんですよね」
「え、うん」
「風俗に行ったりとかしないんですか?」
「あ、いや、行ってないよ」
「ソープとかでセックスしたいとか思わないんですか?」
「それは・・・もちろん僕も男だし、性欲はあるけど、でもそういうところにお金を使うくらいなら、自分でしてればお金かからないし、その分美和のためにお金を使いたいって思っちゃうから‥‥‥」
「おじさん、やっぱりかっこいいです」と瑛二を見つめる明日香。
「えっ、いや、別に、そんなことないから」
「お金かからないんならセックスしたいっていうことですよね?」
「え?」
「おじさん、うちの母の一つ上だから、まだ四十歳ですよね。男性として一番精力旺盛な年代だし、性欲いっぱいなのは当たり前だと思います。オナニーだけじゃなくセックスだってしたいはずです。だからそういうことを想像しながらオナニーしているんですよね」
「そ、そう言われちゃうと、返す言葉もないんだけど・・・でも相手もいないし」
「私じゃダメですか? おじさんの性欲を満たす相手は」
「え?」
「私、前からおじさんのこと大好きだし、素敵だと思ってました。私のはじめてはおじさんにしてもらいたいって‥‥‥」
「え〜っ!」
「美和から相談されて、やっぱり近親相姦とかはタブーだからやめたほうがいいと答えましたけど、その代わり私がおじさんを満たしてあげるから、って」
「え‥‥‥」
「おじさん、私を抱いてくれませんか。私、おじさんとセックスしたいです。おじさんに私の処女をもらってほしいです」
「いや、そんな、それは無理だよ。お母さんの静香ちゃんとは学生時代からの友達だし、娘の明日香ちゃんにそんなことできないよ」
「友達の娘としてではなく、おじさんに恋してるひとりの女として見てくれませんか」
「いや、それは無理だから」
「私、母には今日美和のところにお泊まりする、って言ってきました。だから今日は帰りません。ここに泊めてくれませんか」
「そんな、美和もいないし、ダメだって‥‥‥。家まで送るから」
「おじさんが泊めてくれないっていうなら、私このまま繁華街に言ってナンパしてきた人についていっちゃいますから」
「そんなのダメだよ」
「じゃあ、おじさん、私を抱いてください」
「いや、待って、とりあえず、美和に連絡取って戻るように言うから」
「美和は私がここに来ることを知ってますから、戻ってきませんよ。私の気持ちを伝えて、了解してもらいました。美和、知らない女の人におじさんを取られちゃうのはちょっと嫌みたいだけど、私ならいいって言ってくれました。おじさんにいっぱい愛してもらって、って応援してくれました」
「いや、でも‥‥‥」
「私、女として魅力ないですか?背も高いしスタイルもいいと思います。ウエスト細いし、おっぱいも大きいし、街に出るといつもナンパされてばっかりなんですよ」
 そう言ってスウェットの上下を脱いで瑛二の向いに立つ明日香。
 下着も付けてない全裸だ。
 若くて素晴らしいプロポーションの明日香のヌードが眩しくて、目を背けてしまう瑛二。
「私、抱きたくなる女じゃないですか?」
「いや、ダメだよ。そんな脱いだりして。お願いだから服着て」
 明日香を止めようと立ち上がって脱いだスウェットを渡そうとする瑛二。
 明日香は瑛二に抱きついてくる。
「私、いつもおじさんとセックスすることを想像してオナニーしてます。私のはじめて、おじさん受け止めてくれませんか。そうじゃないと、ホントにやけになって街で声かけてくた男の人としちゃいますから。本気なんです‥‥‥」
 感情的になって涙目で訴える明日香。
「ちょ、ちょっと待って、とりあえず落ち着いて」と抱きついてる明日香を離す瑛二。
「わかった、とりあえず今日泊まっていくのはいいから、だから落ち着いて‥‥‥。とりあえず服着てくれないか。明日香ちゃんはお父さんがいないから、父親への憧れっていうか、そういう気持ちなんだと思う。好きっていう気持ちが、恋愛的なのと、父親に近い年齢の僕に対する親近感みたいなのと混同しちゃっているだけだよ。お父さんがわりに、一晩添い寝してあげるから、それでかんべんしてくれないかな」
「わかりました。とりあえず譲歩します」
「あ、ありがとう」
 裸の明日香から目を逸らしたままの瑛二。
「お風呂沸いてるから、そのまま入ってきて。裸のままじゃ風邪ひいちゃうよ」
「はい」
 そう言って明日香はおとなしく風呂に向かった。
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