娘の親友 〜友情とセックスと一途な思い〜
十 春光
十 春光
「お父さん、早く!」
後ろを振り返って瑛二に声をかける美和。
そばには明日香と静香もいる。
「ちょっと待ってくれよ。この坂辛いんだから」
泣き言を漏らす瑛二。こういう時には歳を感じてしまうのだ。
スーツ姿で動きづらいのもあって、結構へばってる。
多摩郊外の丘陵地帯にある霊園。
ここに美鈴が眠っている。
瑛二が息を切らしながら美鈴のお墓に着くと、美和と明日香、静香が持ってきた掃除道具でお墓の周りを掃除している。
「あ、やっと来た」
「あ〜あ、歳はとりたくないよね〜」
ハアハアと肩で息している瑛二に、やや呆れ顔で声をかける静香。
掃除を終えて墓跡の前に並ぶ四人。
四人は墓地にはちょっと似合わないドレスアップした服装をしている。
お墓に向かって静香が口を開く。
「美鈴、ご無沙汰だね。今日は報告があってみんなで来たんだ。瑛二と、ウチの明日香が結婚することになっちゃって、どうしても美鈴のところで結婚式したいっていうから‥‥‥」
静香の言葉を受けて、瑛二が続ける。
「美鈴、美和が無事に高校を卒業して大学進学が決まったよ。そして去年話した通りに、明日香ちゃんも無事に高校卒業して、僕との結婚も決まったんだ。だから、美鈴に結婚式、見てもらいたくって来た。美鈴が大事に作ってくれたウチの家庭をこれからは明日香ちゃんが守っていってくれるから、どうか、あきれないで見守っていてくれるかな‥‥‥」
瑛二の話を聞きながらうっすらと涙をためている明日香が、次に美鈴に声をかける。
「美鈴さん、ご無沙汰してます。明日香です。私、美鈴さんには全然及びませんけど、でも美鈴さんの思いを引き継いで、瑛二さんを支えて、幸せな家庭を作っていきたいと思いますので、どうか見守っていてください」
明日香の肩を抱いて微笑む静香。
「美鈴。へんな縁だけど、まあ、そういうことになっちゃったから。私がしっかり見張ってるから、私と一緒に二人を見守ってあげてね‥‥‥」
そう言って隣の明日香と瑛二のほうに向き直る。
「それじゃ指輪の交換を‥‥‥」
「はい!」
「うん」
二人は指輪を取り出してお互いの指にはめあう。
「健やかなる時も、病める時も、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることを誓います」
瑛二の言葉を明日香が受ける。
「誓います」
そして四人は墓前に向かって黙祷をささげる。
顔をあげた美和が最後に美鈴に言葉をかける。
「お母さん、私も元気だから。ゆっくりおやすみしててね」
「さ、行こうか。あ、そうだ。それから美和ちゃんは、明日香と入れ替えで、ウチで預かることになったから、まあ任せてね。じゃあ、行くよ、美鈴、またね」
静香の合図で、四人は美鈴の墓に別れを告げ、坂道を降り始めた。
丘陵地帯の霊園は、多くの桜の木が満開となり、一面のピンク色が海のように広がっていた。
「わ〜っ、すっごい景色」
「見渡す限りのピンク色で、すっごいキレイ〜っ!!」
美和と明日香が感激の声を上げる。
「美鈴から二人への祝福かな‥‥‥」
静香がにっこりと瑛二に微笑みかける。
「うん、そうだね‥‥‥きっと」
景色を眺めながら瑛二が答える。
美鈴への感謝を胸に、素晴らしい景色を胸に刻む瑛二。
幸せな家族におとずれた、眩しい春の日だった。
娘の親友 〜友情とセックスと一途な思い 完
「お父さん、早く!」
後ろを振り返って瑛二に声をかける美和。
そばには明日香と静香もいる。
「ちょっと待ってくれよ。この坂辛いんだから」
泣き言を漏らす瑛二。こういう時には歳を感じてしまうのだ。
スーツ姿で動きづらいのもあって、結構へばってる。
多摩郊外の丘陵地帯にある霊園。
ここに美鈴が眠っている。
瑛二が息を切らしながら美鈴のお墓に着くと、美和と明日香、静香が持ってきた掃除道具でお墓の周りを掃除している。
「あ、やっと来た」
「あ〜あ、歳はとりたくないよね〜」
ハアハアと肩で息している瑛二に、やや呆れ顔で声をかける静香。
掃除を終えて墓跡の前に並ぶ四人。
四人は墓地にはちょっと似合わないドレスアップした服装をしている。
お墓に向かって静香が口を開く。
「美鈴、ご無沙汰だね。今日は報告があってみんなで来たんだ。瑛二と、ウチの明日香が結婚することになっちゃって、どうしても美鈴のところで結婚式したいっていうから‥‥‥」
静香の言葉を受けて、瑛二が続ける。
「美鈴、美和が無事に高校を卒業して大学進学が決まったよ。そして去年話した通りに、明日香ちゃんも無事に高校卒業して、僕との結婚も決まったんだ。だから、美鈴に結婚式、見てもらいたくって来た。美鈴が大事に作ってくれたウチの家庭をこれからは明日香ちゃんが守っていってくれるから、どうか、あきれないで見守っていてくれるかな‥‥‥」
瑛二の話を聞きながらうっすらと涙をためている明日香が、次に美鈴に声をかける。
「美鈴さん、ご無沙汰してます。明日香です。私、美鈴さんには全然及びませんけど、でも美鈴さんの思いを引き継いで、瑛二さんを支えて、幸せな家庭を作っていきたいと思いますので、どうか見守っていてください」
明日香の肩を抱いて微笑む静香。
「美鈴。へんな縁だけど、まあ、そういうことになっちゃったから。私がしっかり見張ってるから、私と一緒に二人を見守ってあげてね‥‥‥」
そう言って隣の明日香と瑛二のほうに向き直る。
「それじゃ指輪の交換を‥‥‥」
「はい!」
「うん」
二人は指輪を取り出してお互いの指にはめあう。
「健やかなる時も、病める時も、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることを誓います」
瑛二の言葉を明日香が受ける。
「誓います」
そして四人は墓前に向かって黙祷をささげる。
顔をあげた美和が最後に美鈴に言葉をかける。
「お母さん、私も元気だから。ゆっくりおやすみしててね」
「さ、行こうか。あ、そうだ。それから美和ちゃんは、明日香と入れ替えで、ウチで預かることになったから、まあ任せてね。じゃあ、行くよ、美鈴、またね」
静香の合図で、四人は美鈴の墓に別れを告げ、坂道を降り始めた。
丘陵地帯の霊園は、多くの桜の木が満開となり、一面のピンク色が海のように広がっていた。
「わ〜っ、すっごい景色」
「見渡す限りのピンク色で、すっごいキレイ〜っ!!」
美和と明日香が感激の声を上げる。
「美鈴から二人への祝福かな‥‥‥」
静香がにっこりと瑛二に微笑みかける。
「うん、そうだね‥‥‥きっと」
景色を眺めながら瑛二が答える。
美鈴への感謝を胸に、素晴らしい景色を胸に刻む瑛二。
幸せな家族におとずれた、眩しい春の日だった。
娘の親友 〜友情とセックスと一途な思い 完