好きな人の妹とつき合う僕ってずるいですか?
『夕方4時に駅前のマックで待ってる』

 苺梨から返事が来たのは昼過ぎだった。

 とりあえず返事が来てくれて嬉しかった。

 放課後マックへ直行する。

 部活があったが、仮病を使って休んだ。

 大事な時期ではあるが、今は部活どころではない。

 マックへ行くと、苺梨といっしょに京美先輩もいた。

「先輩……」

 苺梨と先輩は私服で、飲み物だけをテーブルに置いていた。

「舜右センパイ、昨日はごめんなさい」

 いきなり立って、苺梨が頭を下げる。

 店内の他のお客さんの目が、こちらへ向けられるのを感じる。

 ボクが驚いて何も言えないでいると、京美先輩が苦笑いしながら苺梨の肩を抱いた。

「ちょっと、いきなりじゃ舜右くんが困っちゃうでしょ。まずは座って」
「……うん」

 ボクは買ってきたハンバーガーセットの載ったトレイをテーブルへ置き、苺梨の正面へ座った。

「日曜日は負けちゃってごめんなさいね。絶対に全国に行くって思ってたけど、負けちゃった」

 心なしか京美先輩の目が赤い。

 まだ心の整理がついていないんだろう。

 ボクは首を勢いよく横に振った。

「あ、謝らないでください。せ、先輩が精一杯がんばった結果なんでしょうから……」
「ううん」

 京美先輩は悲しそうに笑った。

「私、邪念があったの」

 邪念?

 なぜか背中に冷たいものを感じた。
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