好きな人の妹とつき合う僕ってずるいですか?
 京美先輩にはまだ何も返事していない。

 京美先輩からも、ゆっくり考えてと言われている。

 優柔不断なボクには、簡単に答えを出すことはできない。

 ボクは誰が好きなんだろう。

 もちろん京美先輩だ。

 入学してきてからずっと憧れてきた。

 誰からも好かれ、尊敬される学校のアイドル。

 高嶺の花。

 ボクと釣り合うとは思えないけど、そんなボクを好きだと言ってくれた。

 ボクはそれに精一杯応えなきゃならない。

 そんな男にならなきゃならない。

 ならなきゃならない?

「なぁおい舜右、聞いてるのか?」

 昌樹の怪訝な顔が前にあった。

 そうやら考え込んでしまっていたらしい。

「あ、ごめん、なに?」
「なにじゃねぇよ。苺梨ちゃんだよ」
「え? 苺梨?」
「いいのかよ」
「え、なにが?」

 ボクが考え込んでる間に、別の話になっていたらしい。

「だから苺梨ちゃんだよ」
「だからなにが」
「告白だよ」
「え?」

 苺梨にボクが告白?

 でも違った。

「告白されたってんだよ。享司(りょうじ)に」
「え……」

 斉木享司。

 芸能事務所にし所属する、正真正銘のアイドル。

 男版京美先輩的な、人気者としての学校の頂点。

 その斉木享司が苺梨に告白?

「さっき体育館裏に呼び出されて苺梨ちゃんが行ったってよ。お前、間違いなく取られるぞ」
「ちょ、ちょっと行って来る!」
「おい、舜右!」

 昌樹の焦った声が後ろで聞こえたが、そんなことはどうでもよかった。
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