好きな人の妹とつき合う僕ってずるいですか?
「苺梨」

 顎はガクガク、左頬はじんじん痺れている。痛みで涙目になっているのがわかるし、心なしか左目の視界が狭い。たぶん頬が腫れてきているのだろう。

 それでもボクは、苺梨を真正面から見つめた。

「ボクと…… これからもつき合ってくれますか?」
「……はい。……はい!」

 苺梨は涙の粒を散らしながら、ボクの胸へと飛び込んできた。

「くそっ、これじゃ俺は完全に悪者じゃねぇかよ!」

 斉木はペッと唾を吐くと、肩を怒らせながら去っていった。

 斉木は暴力的だったけど、それだけ本気で苺梨のことが好きだったんだと思う。

 殴られて痛い思いはしたけど、今までの苺梨はもっと心が痛かったはず。

 それを考えれば、ボクのこんな痛みなんてなんてことはない。

 ボクへの罰だと思えば、斉木にさえ感謝したくなってくる。

「苺梨」

「センパイ」

「大好きだよ」

 苺梨は涙を流しながら、満面の笑顔を浮かべた。

 そしてボクの胸へ顔を埋めてきた。

「アタシも大好き!」



―― 完 ――
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